「髙坂鶏農園」誘致決定に至るまでの調査記録

この度、京都府 船井郡京丹波町下大久保区へ「髙坂鶏農園」を誘致決定するにあたって、どのような取り組みがあったのか、京丹波町下大久保区山田良一区長による調査記録を時系列と共に開示いたします。

誘致の経緯

最初に京丹波町鎌谷中の役員より、地域振興のため当地区への養鶏場誘致の打診がありました。役員は信頼の厚い人物ですが、下大久保区では、誘致について慎重をもって4ヶ月間に渡り調査をすることにしたのです。誘致に慎重になった理由は、当該事業者が兵庫県丹波篠山市において「桑原公害事件」として取り扱われていたからになります。

調査事項

  • 現地鶏舎付近の調査
  • 桑原地区住民への聞き込み
  • 髙坂鶏農園の資料検分
  • 兵庫県丹波県民局丹波農林振興事務所への事実確認

初回の現地視察

2021年6月3日「桑原公害事件」の現地、桑原河谷地区の養鶏場を確認。臭い、騒音、いずれも確認することが出来ず、公害などといった問題とはほど遠いと思ったのが所感でした。

双方の資料の精査

住民側のデータ

<桑原地区住民代表 細川通生>

「20年間にわたって公害に苦しめられた」とありましたが、臭気、騒音についての公的機関測定はもとより、篠山市より簡易測定機器の貸与があったにも関わらず簡易測定データの提示もありませんでした。また騒音の録音データが提出されておりましたが、編集可能なため公害の根拠とするには決定的ではありません。

<兵庫県丹波篠山市>

「法令違反の常習者で、改善の意志もなく、聞く耳も持たない」という行政にしては感情的な感じのことが書かれていました。また丹波篠山市も測定したとされる臭気測定データのほとんどが非公開となっており、髙坂氏の情報公開請求にも応じていません。

高坂氏側のデータ

髙坂鶏農園の提出した臭気測定データは、立会人同席の上測定されたものであり、数値はすべて基準値以下でした。それを裏付けるデータが、丹波篠山市議会議員 渡辺拓道氏の調査報告書「http://www.next-sasayama.net/img/file1.pdf」です。調査報告書には丹波篠山市が情報開示を拒んでいる臭気測定データの一部と簡易測定での騒音データが記載されており、丹波篠山市が測定した「悪臭物質」「臭気指数」いずれのデータも確認したところ公害問題となる要素はほぼありませんでした。

<髙坂鶏農園資料による許認可、補助金交付の流れ>
  1. 2006年2月 髙坂氏認定申請書提出、瀬戸亀雄篠山市長により、認定農家※1に認定される。鶏5100羽以上に増やすことが条件。
  2. 2016年 髙坂由起子氏、酒井隆明篠山市長により、認定農家※1に認定される。鶏9600羽以上に増やすことが条件。
  3. 髙坂由起子氏「2016年地域住民を代表し、信頼できる担い手農家」として、篠山市から人・農地プラン※2、地域の中心経営体農家に認定される。
  4. 2017年11月 髙坂由起子氏「篠山市農業委員会」田渕委員長より、養鶏事業の効率化を図るために飼料倉庫を建設すること、桑原地区役員の同意を得て「農地」から「農業用施設用地」へ変更することを許可される。髙坂氏によると、この時、篠山市農業委員会事務局から簡易鶏舎の場合は農地転用の必要はないと言われたとのことです。
  5. 2018年10月 髙坂由起子氏、地域の中心経営体農家として、鶏、鶏舎を3年以内に増やすようにと(国、兵庫県、丹波篠山市市議会、全員賛成で)経営体育成支援事業※3補助金の交付を受ける。
※1認定農業者の位置づけと認定基準

国は、平成17年3月に策定した新たな「食料・農業・農村基本計画」において、「効率的かつ安定的な農業経営」が農業構造の相当部分を担う望ましい農業構造の確立に向け、地域の話し合いと合意形成を促し、担い手を明確化した上で農業経営の各種施策を集中的・重点的に実施することとし、担い手として「認定農業者」等が位置づけられました。

  1. 計画が市町村基本構想に照らして適切なものであること
  2. 計画が農用地の効率的かつ総合的な利用を図るために適切なものであること
  3. 計画の達成される見込が確実であること
※2人・農地プランとは

人・農地プランとは、高齢化や農業の担い手不足が心配される中、地域や集落 の話合いに基づき、5年後、10年後までに、地域内の農業において中心的な役割を果たすことが見込まれる農業者(中心経営体)、当該地域における農業の在り方などを明確化することです。

※3経営体育成支援事業とは

地域の担い手(「人・農地プラン」に位置付けられた中心経営体)の育成・確保を推進するため、農業用機械・施設の導入を支援します。

<不可解に感じた点>

住民が20年間も公害に苦しみ、法令違反を繰り返している様に書かれているが、なぜ篠山市と桑原地区役員は、2018年10月までの12年8ヶ月間優良企業として、認定農家と地域の中心経営体農家に指定し、また補助金を交付してまで髙坂鶏農園に鶏や鶏舎を増やすことを勧めてきたのか、それが2021年3月、行政が情報開示を拒んだまま突然「悪者」に、飼育環境の良さと合わせ考えると理解が出来ません。

2021年6月

引き続き、鶏舎付近の環境を朝昼晩、雨の日、暑い日、何度も調査しましたが、臭気、騒音を確認することはありませんでした。渡辺拓道市議会議員においては、深夜にも調査を実施、異常は認められなかったとのことです。そこで髙坂氏に法的に認められる公的機関での臭気、騒音の測定を申し入れしました。

2021年6月23日

(株)兵庫分析センターによる臭気、騒音の測定実施。天候晴れ。

測定場所

  • 鶏舎内部(兵庫県朝来家畜保健所に届出)
  • 敷地境界4か所
  • 被害を訴える住民2名宅

立会人

  • 新聞記者2名
  • 草山地区役員2名
  • 住民2名
  • 兵庫県畜産基金協会理事2名
  • 弁護士1名

他、京丹波町住民2名も同席、立会人含む11人全員が「臭気、騒音いずれも感じない」と感想が一致。後日、法的な証拠になる数値データも全て基準値以下であることを確認しました。

2021年7月1日

「桑原公害問題」が実際に持ち上がった2018年当時の桑原地区の自治会長に、京丹波町選出の町会議員立会いのもと聞き取り調査を実施。桑原地区自治会長は「単なるボタンの掛け違いである」との回答でした。

2021年7月5日

兵庫県丹波県民局丹波農林振興事務所に出向き、髙坂鶏農園に対する、兵庫県の考えをお聞きしました。回答は「安心して、兵庫県で生まれた髙坂鶏ブランドを、京丹波ブランドとして町の振興に活かしてください」というものでした。

2021年7月20日

京丹波町下大久保区役員会に髙坂氏が参加。鶏舎環境の調査をさせてもらうことを依頼。髙坂氏は快諾しました。

2021年8月8日

30℃超す炎天下の中、京丹波町下大久保区役員13名全員で、髙坂鶏農園桑原鶏舎の現地調査を実施しました。臭気、騒音、畜舎環境、一切問題がないため、鶏舎の誘致を決議することが検討されたのです。

2021年9月20日

京丹波町下大久保区役員会にて、「兵庫県丹波県民局丹波農林振興事務所」から頂いた協定書のたたき台を精査。この時、役員からの報告で、次の2点について改めて協議することになりました。

  • 鶏舎環境の調査に同行していない、一般住民の中には、髙坂鶏農園に対するインターネット上での誹謗中傷、怪文書ビラ、酒井隆明丹波篠山市長の広報発表を見て不安を感じている人がいる。
  • 酒井隆明市長の「兵庫県が髙坂鶏農園に出した勧告内容は、命令に近い勧告で髙坂鶏農園は大変悪質である」と言う発言。
    ※第122回 丹波篠山市議会 令和3年9月15日 長月会議(第2日)桑原地区選出の上田英樹議員による「桑原地区の公害問題解決に向けて」という質問に対しての回答

協議の方法

山田区長報告の兵庫県の考え方と酒井隆明市長の発言には齟齬があるといった意見もあるため、再度、兵庫県丹波農林振興事務所に回答して頂いた後に「京丹波町下大久保区住民総会」を開くことにしました。

2021年10月6日

兵庫県丹波農林振興事務所に、酒井隆明市長が答えた「兵庫県が髙坂鶏農園に出した勧告内容は、命令に近い勧告で髙坂鶏農園は大変悪質である」に関する事実確認をしました。

兵庫県丹波農林振興事務所回答

「あくまでも農地法を厳守する立場で勧告したもので、そのような内容の表明はしていない」「農地法と農振法の違反に対して、農地を原状回復するよう指示したものであり、悪臭防止法等に係る公害問題を改善するよう指示したものではない。勧告書の記載は、期間中に問題が生じないよう畜産業を営む者が恒常的に行うべき事項として明記したものである」

兵庫県丹波農林振興事務所回答を受けて

酒井隆明市長の発言で、不安を感じている京丹波町下大久保区住民には「山田区長から確認のあった内容で間違いない。兵庫県に対する疑問等があれば、直接問い合わせいただいて問題ない」との回答に合わせ、月1回以上の抜き打ち検査も異常なしとの結論に至りました。

2021年10月8日

京丹波町下大久保区臨時住民総会(髙坂鶏農園誘致問題住民説明会)開催。「全員賛成で誘致することを決定した」と決議されました。